理学療法士が徹底解説!腰痛予防の攻略ガイド

生活

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はじめに

腰痛は日本人の約8割が一生に一度は経験するといわれるほど、非常に身近な症状です。特にデスクワークや家事・育児、加齢に伴う筋力低下などによって腰への負担は増え続けています。

しかし、腰痛の多くは、正しい姿勢の習慣化・適切な筋トレやストレッチ・日常動作の工夫 によって予防や軽減が可能です。

この記事では、現役理学療法士の視点から「腰痛予防の基本」「効果的な姿勢」「おすすめの運動」「腰にやさしい動作」について解説します。皆様の生活に役立つ情報になれば幸いです。

※本記事は診断や治療を目的としたものではありません。強い痛みが続く場合は、必ず医療機関を受診してください。

この記事を読むべき人

  • 現在腰痛がある人
  • ご家族で腰痛がある人
  • 腰痛指導を行う人

1. 腰痛の原因と予防の基本

腰痛の原因

腰痛の約85%は非特異的腰痛と呼ばれる原因が特定できない腰痛です。非特異的腰痛の原因として以下の4つが挙げられます。

  1. 長時間の不良姿勢
  2. 体幹筋力の低下、柔軟性の低下
  3. 生活習慣の乱れ
  4. 精神的ストレス

特に、長時間の不良姿勢筋力・柔軟性の低下は腰への負担を大きくし、腰痛を引き起こす主な原因となります。

具体的には、猫背の状態で長時間座っていると、背骨の理想的なS字カーブが崩れ、腰骨に過剰な力がかかります。加えて、体幹筋の筋力や柔軟性が低下すると様々な動作を行う際に腰への負担がさらに増加します。

腰痛の予防

腰痛予防の基本として、WHOや日本整形外科学会のガイドラインでも「運動療法」が第一選択と言われています。

詳しくは下記で記載しますが、体幹筋力や柔軟性を改善することで腰痛の軽減が図れます。また、運動を行う事で精神的ストレスの解消にもつながることからも運動療法が推奨されています。

2. 姿勢の見直し

デスクワーク時

デスクワークの時は座って作業をすることが多いと思います。座って作業を行うときときの腰痛予防にはいくつかのポイントがあります。

  • 背もたれは骨盤を支える位置までしっかり当てる
  • モニターはやや見下ろす位置に設置する
  • 30分~1時間程度で適宜姿勢を変える

できるだけ背骨を曲げないことや、同一姿勢で長時間いることを避けましょう。

デスクワークなどで骨盤をしっかり支えるような道具を使用するのもとても有効です。

私が仕事場でデスクワークを行うときに使っている道具も載せておくので気になる方はぜひ検討してください。

家事編


家事を行うときにも腰痛予防に重要なポイントがあります。

  • 洗濯物や重い物を持ちあがるときは腰を曲げずに持ち上げる
  • 台所での立ち仕事では、台の上に足を乗せ腰の負担を減らす

家事だけでなく、仕事でも同様ですが、重い物を持つときは腰は曲げずに膝と股関節を曲げて身体と近づけて持つことがとても大事です。

厚生労働省では、動作や姿勢の違いによって腰部の負担が異なると記載しています。
下記画像でも膝と股関節を曲げて持つことで腰を曲げて持つよりも腰部の負担が軽減することがわかります。

厚生労働省ホームページ 【保険衛生業】腰痛予防対策講習会テキストより引用


3. 運動療法

腰痛予防には、運動療法が重要です。腰痛診療ガイドラインでも腰痛予防に対する一番有効なのは運動療法と記載してあります。

※発症早期の腰痛(ぎっくり腰など)に対しては、安静が一番です。あくまで慢性的な腰痛に対して運動療法が有効です。

筋力トレーニング

体幹の安定化のために筋力トレーニングは必須事項です。腹横筋や腹斜筋、多裂筋といった筋を鍛えることが推奨されています。

以下に具体的な運動方法を紹介します。

① ドローイン

  1. 仰向けで膝を立てる
  2. 息を吐きながらお腹をへこませる
  3. 10秒キープを10回

ポイント:床と腰がくっつくようにお腹に力を入れる

② ブリッジ

  1. 仰向けで膝を立て、腰を持ち上げる
  2. お尻と太ももの裏に力を入れる
  3. 10回を2~3セット

ポイント:お腹に力を入れて腰を反りすぎないようにする

③ プランク

  1. うつ伏せから肘とつま先で身体を支える
  2. 30秒を2〜3セット

ポイント:身体を一直線にして腰を反らさないようにする


ストレッチ

筋肉の硬さは腰痛リスクを高めます。ハムストリング・大殿筋・股関節屈筋群 を意識してストレッチをしましょう。

ストレッチでは、痛気持ちいい程度の強さで深呼吸をしながら行うことが推奨されています。痛すぎる場合は無理せず伸びていることを感じながら行いましょう。

① ハムストリングストレッチ

  1. 椅子に浅く座り、片足を前に伸ばす
  2. 背中をまっすぐにして身体を前に倒す
  3. 片足ずつ20秒を2~3セット

ポイント:できるだけ膝を曲げないようにする

② 大殿筋ストレッチ

  1. 椅子に座り足を組んであぐらをかくように倒す
  2. 背中をまっすぐにして身体を前に倒す
  3. 片足ずつ20秒を2~3セット

ポイント:痛みが強い場合はあぐらをかくようにするだけでもOK

③ 腸腰筋ストレッチ

  1. 片膝立ちをして足を後ろにもっていく
  2. 腰を反らないように太ももの前を伸ばす
  3. 片足ずつ20秒を2~3セット

ポイント:床についている膝が痛む場合はクッションなどを敷く

運動療法の科学的根拠

筋力トレーニングやストレッチなどの運動療法は科学的根拠としても示されています。

「Motor control exercise for chronic non-specific low-back pain」

慢性の非特異的腰痛に対して、体幹筋の筋力トレーニングを行う事で、腰痛軽減効果が得られたと報告しています。

「The effects of hamstring stretching exercises on pain intensity and function in low back pain patients: A systematic review with meta-analysis of randomized controlled trials」

腰痛患者を対象にハムストリングスのストレッチの効果を調べており、痛みの程度が減少したと報告しています。

このように運動療法を行う事で腰痛の予防や疼痛の改善が見込めると言われています。
また、多くの文献ではストレッチ単体よりも筋力トレーニングと組み合わせた方がより効果が出やすいと報告しています。

今回紹介した運動は一例です。また、自宅で簡単にできる道具を使用した運動についてまとめた投稿もあるのでお時間のある方は参考にぜひご覧ください。


4. 腰に負担の少ない動作・方法

上記の姿勢の見直しと共通する部分がありますが、腰痛予防に欠かせないのが、日常生活での動作の改善です。正しい筋トレやストレッチを行っていても、普段の動作が不適切であれば腰への負担は蓄積し、腰痛発生のリスクを高まります。理学療法士の視点から腰に負担がかからない動作を紹介します。

1.しゃがみ込み、かがみ込み

立っているところからのしゃがみ込みや椅子に座っているところからかがみ込むときに腰を曲げたままの状態で急性腰痛(ぎっくり腰)を発症する方が多いです。

物を持ち上げるときも同様ですが、股関節や膝を曲げることを意識して動作を行うようにしましょう。

2.物を持ち上げる

姿勢の見直しのところでも少し触れ、繰り返しになりますが、腰を曲げずに股関節と膝を曲げることを意識しましょう。加えて、物を持つときはできるだけ物と身体を近づけることが大切です。

仕事上重い物を持たなければいけない場合などは、できるだけ複数人で持つことや機械の力を借りることも重要だと思います。無理して持ったあまり身体を痛めてしまっては仕事にも支障が出ますので助けを求めましょう。

3.起き上がり

朝の起き上がりで腰に痛みを感じる人は少なくありません。寝ているときは腰の筋肉は動いていない状態なので、いきなり動かされるわけですから痛みが出ても不思議ではありません。

起きる前に寝返りや仰向けで膝を抱えるなど少し動いてから起きると腰痛予防になります。

あらゆる動作において腰を曲げる動きは腰への負担が大きくなります。そのため、股関節や膝をしっかり曲げて腰への負担を減らす動作を意識しましょう。


5. 腰痛のサインと受診の目安

腰痛の多くは生活習慣や筋肉の緊張によって起こりますが、なかには重大な病気が隠れている場合もあります。次のような症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診することが大切です。

  • 足のしびれや力が入りにくい
  • 夜間や安静時でも強い痛みが続く
  • 排尿・排便障害が生じる
  • 微熱や発熱が続いている
  • 理由もなく体重減少がある

これらのはレッドフラッグサインと呼ばれ、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、感染症、悪性腫瘍などの可能性を示すことがあります。腰痛だからといって放置せず、早めに整形外科や神経内科などの専門医へ相談しましょう。


まとめ

腰痛予防は「姿勢」「筋力」「柔軟性」「正しい動作」の4本柱で成り立っています。
理学療法士として強調したいのは、特別な道具がなくても自宅で実践できるエクササイズや習慣の見直しが効果的という点です。

一方で、腰にやさしい椅子やマットレス、ストレッチグッズは運動継続のモチベーションを高めるサポートになります。

腰痛は「正しい知識 × 習慣 × 適切なグッズ活用」で予防できます。今日から少しずつ始めてみましょう。

これからも理学療法士の視点から身体に関することを解説していきますので今後もご覧頂けると幸いです。

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